グラベルロードを眺めながら多様性について考えた件

グラベルロード

11月のサイクルモードで、フルサスのグラベルロードを見た。フロントに30ミリくらい(たぶん)のFOX、リアはWウィッシュボーンのような感じでリアバックが完全に独立している設計で、かなりカッコ良かった。でも、欲しいかと言われると(言われないけど)ノーだ。理由は多能的でないから。

グラベルロード自体を否定するつもりはないけど、もし1台目のロードバイクとして友人がグラベルロードを検討していたら、僕だったらグラベルも走れるエンデュランスロードを勧めるだろう。

グラベル=林道ということであれば、20年以上前から舗装化がどんどん進んでおり、それほど長い林道というのは、都心から自走でアクセス出来る範囲にはあまり残っていない気がする。片道50〜80キロくらいだとすれば林道って最後の数キロ程度じゃないだろうか?

それなら、グラベルロードではなくて、そこそこ太目のタイヤが付けれるロードバイクのほうが良い。最近だったら28cくらいのタイヤであれば全然OKなディスクロードはあるし、舗装路での走りを犠牲にしないほうが、(普通のロードの)仲間と一緒に走るときにも楽しいのではないだろうか。まあ、趣味なんで他人の勝手なんだけど。

自分なりのバイクの楽しみ方をこれから探していくビギナーの方には、そういった多様性のあるバイクをお店は提案してあげるべきだと思う。お客さんが望むものを用意するのがお店の務めかもしれないけど、出来ればもう少しだけ踏み込んでも良いんじゃないかな。それがネット販売に(今のところ)出来ないことだと思うけど。

マウンテンバイク

似たような、似てないような理由で、自転車店勤務のときにマウンテンバイクを始めたいというお客さんに対して、フルサスを勧めることが殆どなかった。理由はやはり「多様性がないから」フルサスバイクは見た目はカッコ良いけど、細分化されたジャンルに特化して作られている場合が多く、極めて多様性に欠けるからである。自転車の中でも、特にオフロード系は欧米との環境の違いが大きく、日本ではコンセプト通りに楽しめない場合が少なくない気がする。

予算の関係や、保管場所の問題で、何台も買うことは出来ないのだから、マウンテンバイクの楽しみを味わうための1台ということであれば、29インチのアルミのハードテールバイクをお勧めする。29インチのハードテールであれば、どこに行ってもそこそこ走ることが出来る。トレイルライドはもちろん、耐久レースだって走れるし、クローズドコースに行っても、それなりに楽しむことが出来るのだ。

マウンテンバイクに初めて乗る人が、フルサスが必要なスピードで走れることは殆どない。正直なところ、何に乗っても大して変わりはない。どうせ転ぶんだから丈夫なアルミフレームのほうが安心。油圧ディスクブレーキは必須で、フロントフォークは出来ればエアスプリングのほうが軽くて良いと思う。大体10〜15万円くらいで、このスペックは手に入れることが出来ると思う。

そんなベーシックなバイクで色々な楽しみ方を、少しずつ体験してみて、本当に楽しみたいことが決まってから、カテゴリーに特化したバイクに乗り換えることだってアリなんじゃないだろうか。残念ながら飽きてしまったら、街乗りに転向させることだって出来る。

「多様性」と「どっちつかず」は全然違う

難しいのは、多様性と「どっちつかず」は、全く異なるということ。例えばクロスバイクは一見、多様性が高いように思える。ひとりでフィットネス的に走るとか、クロスバイク同士で走る分には問題ないし、十分に楽しめる。おまけに日常の足としても便利!まさに多様性である。

でも、仲間のロードバイクと一緒にツーリングするという話になってくると、初めのうちはともかく、周囲のスキルが上がってくると、脚力のアドバンテージが余程ない限り、一緒に楽しむことが難しくなる。ロードバイクのパーツを流用した、ちょっと高めのクロスバイクもあるけど、結局のところ「どっちつかず」である。

結局、これから先どうやって楽しむか次第なんだと思うけど、自転車って意外と高価だし、短期間のうちに何回も買い直すのも難しい(そういう人もいるけど)から、いろいろな楽しみ方を知っている人がいるお店を選ぶ必要がある。まあ、それが難しいんだよね。

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